外国人採用の2027年問題:自社の「立地」で戦略を変えていますか?
「2027年4月から始まる『育成就労』制度、うちの会社もとりあえず対応しておけばいいだろう」
――もしそんな風に考えているとしたら、今後の外国人採用で大失敗してしまうかもしれません。
実は、今回の法改正によって、「都会にある企業」と「地方にある企業」とでは、選ぶべき制度や生存戦略が180度変わるからです。
もし自社の立地や特性に合わない制度を選択してしまうと、多大なコストをかけて採用した人材が、わずか1年で他社に流出してしまうという最悪の事態になりかねません。
ベトナム人を中心とした外国人採用のマーケットは、すでに熾烈な奪い合いの時代に入っています。
この記事では、都会と地方それぞれの立地に最適化した採用戦略と、激変するトレンドを生き残るための具体的なポイントを解説します。
【都会の採用戦略】「特定技能」に絞り、リクルーティング力で勝つ
主張:都会の企業は「育成就労」ではなく「特定技能」を中心とした採用を進めるべき
東京や大阪、名古屋といった都会に位置する企業においては、新しく始まる「育成就労」制度をあえて活用するメリットは薄いと言えます。
都会のマーケットで生き残るための最大の鍵は、「リクルーティング(採用力)」の一点に尽きます。
理由:1年で転籍(転職)されるリスクが高すぎるため
育成就労制度の最大の特徴は、一定の要件(日本語能力や技能試験の合格など)を満たせば、本人の意向による「転籍(転職)」が可能になる点です。
分野によっては、最短「1年」での転籍が認められます。
利便性が高く、娯楽やコミュニティも充実している都会は、外国人材にとって非常に魅力的な街です。
わざわざ手続きが煩雑で育成コストのかかる育成就労で未経験者を雇わなくても、都会の企業には「すでに日本国内にいる優秀な人材」が集まりやすい環境があります。
逆に、都会でわざわざ育成就労を活用してゼロから育てても、1年後にさらに条件の良い他社へ転籍されてしまっては、企業側のメリットがありません。
証拠・具体例
特定技能も、これから始まる育成就労も、どちらも「転職が可能」な制度です。
つまり、これからの外国人採用は、日本人採用とまったく同じ「いかに自社に人材を呼び込めるか」という採用力(リクルーティング)の勝負になります。
都会の企業は、SNSを活用した自社ブランディングや待遇の明確化を徹底し、「特定技能の即戦力人材から選ばれる企業」を目指すのが最も効率的です。
【地方の採用戦略】「育成就労」を武器に、徹底した定着管理で囲い込む
主張:地方の企業は「育成就労」を視野に入れた採用を検討せざるを得ない
都会とは真逆で、地方にある企業は「育成就労」制度を軸にした採用戦略が適している場合が多々あります。
地方で生き残るための最大の鍵は、都会のような採用力ではなく、「人材の定着(リテンション)」です。
理由:2年間の転籍制限を利用し、その間に強固な関係を築くため
育成就労には、本人の意向で転籍できるようになるまでの期間が「1年」の分野と、「2年」に設定されている分野があります。
技能修得に時間がかかると判断される分野(自動車整備や建設など)では、原則2年経たないと転籍ができません。
地方企業にとって、この「2年間」は非常に貴重な猶予期間となります。
特定技能だけに頼ろうとしても、知名度や給与水準で都会の企業に負けてしまい、そもそも応募が来ないリスクがあります。
しかし、育成就労の「2年間の制限」を活かせば、確実に自社で人材を一定期間確保し、じっくりと育成することが可能になります。
証拠・具体例
地方企業が勝つためには、最初の1〜2年の間に「いかに長く自社に定着してもらえる関係を作れるか」がすべてです。
例えば、地域のコミュニティや生活面のサポートを日本人スタッフが手厚く行ったり、困ったときに相談できる社内環境を整えたりすることで、外国人材に「この会社、この地域に残りたい」と思ってもらう戦略です。
待遇面(給与)だけで都会と戦うのは難しくても、アットホームな定着環境を作ることで、転籍可能期間が過ぎた後も自社に残ってもらうことは十分に可能です。
【静岡の企業はどうする?】自社の「立地」と「分野」を徹底的に見つめ直す
静岡エリアの特殊性:都会と地方が混在するからこそ、個別戦略が必要
弊社(当ブログ運営会社)が所在する静岡県は、非常に象徴的なエリアです。
静岡市や浜松市といった中心部は「都会」としての性質を持っていますが、県全体で見れば面積が広く、山の近くや沿岸部など「地方」に分類される地域も少なくありません。
同じ静岡県内の企業であっても、自社のオフィスや工場がどこにあるかによって、選ぶべき道は分かれます。
- 中心部(都会型)の企業:「特定技能」をメインに据え、求人票の出し方や採用マーケティングを強化する。
- 郊外・地方型の企業:「育成就労」を活用し、生活サポートや社内コミュニケーションを強化して定着率100%を目指す。
また、自社が営むビジネスが「1年で転籍できる分野」なのか、それとも「2年間残ってもらえる分野」なのか、法改正の最新情報をキャッチアップして把握しておくことが不可欠です。
まとめ:2027年4月の新制度スタートに向けて今やるべきこと
2027年4月以降の動きに向けて、外国人採用のルールは完全に新時代へと突入します。
これから生き残るために、今すぐ自社で以下の2点を見つめ直してください。
- 自社の「立地」は都会型か、地方型か
- 自社の「取り扱い分野」の転籍制限期間は何年か
都会なら「リクルーティング(採用力)」、地方なら「人材の定着」。
それぞれの立地に適した戦略を今から練り上げ、今後のベトナム人採用計画を策定していきましょう。
新制度が始まってから慌てるのではなく、今から動いた企業だけが、優秀な外国人材を確保し続けることができます。


