「技能実習制度が終わり、新しい制度が始まるらしいが、具体的に何が変わるのか不安だ」「今まで通りに人手を確保できるのだろうか?」と、今後の外国人雇用に危機感を感じている経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
これまでは「日本で働きたい外国人はいくらでもいる」という前提で、人手不足を補うための受け入れが可能でした。しかし、制度の大きな転換期を迎え、従来のような「管理」主体の考え方では、せっかく育てた人材を失ってしまうリスクが現実味を帯びています。
これからの育成就労制度において、企業は「選ぶ側」から「選ばれる側」へと立場が逆転します。
1. 「人手不足だから受け入れる」時代の完全な終焉
育成就労制度への移行は、単なる名称変更ではありません。企業には、外国人を適正に管理するだけでなく、「育成する体制」が強く求められるようになります。
【理由】
新制度では、一定の条件を満たせば「転籍(転職)」が認められるようになります。これは、企業が魅力的な環境を提供できなければ、優秀な人材はより条件の良い他社へ流出してしまうことを意味します。
具体策:長く働ける環境作り
人材流出を防ぐためには、キャリアアップを前提とした透明性の高い給与体系を提示することが不可欠です。単なる労働力として扱うのではなく、日本での人生設計(ライフプラン)を共に描けるようなサポート体制が、定着率を左右する鍵となります。
2. 日本語能力試験「N4」合格への伴走が企業の義務に
特定技能へ移行するために必要となる「日本語能力試験N4」の義務化は、企業にとって非常に高いハードルとなります。
【理由】
もし試験に不合格となれば、その外国人は日本に留まることができず「強制帰国」となります。つまり、日本語能力は日本に滞在し続けるための「ライセンス」であり、その合否は本人の人生だけでなく、企業の戦力維持にも直結します。
【企業に求められる役割の変化】
- 単なる労働場所:「仕事さえ教えればいい」という考え方
- 学びの場(教室):勉強時間を業務内に確保し、合格まで伴走する姿勢
日本語教育を本人任せにする企業は、学習環境の整った競合他社へ見切りをつけられ、転籍されるリスクが極めて高くなります。
まとめ:現場の「管理力」と「育成力」を磨き続ける
育成就労制度への移行は、日本企業にとって大きな転換点です。あらためて今回のポイントを整理しましょう。
- 立場が変わる:企業は選ぶ側ではなく、外国人材から「選ばれる側」になった。
- 転籍リスク:キャリアプランの提示と透明性のある処遇で、定着率を高める必要がある。
- 教育の重要性:日本語教育を「コスト」ではなく「投資」と捉え、学習に伴走する。
単なる「労働力」としてではなく、共に成長するパートナーとして向き合うこと。現場の管理力と育成力を高め続け、外国人材から「この会社で働き続けたい」と思われる企業になることこそが、新制度において目指すべき明確な方向性です。


