近年、日本で働くベトナム人が増え、多くの企業で彼らが重要な戦力となっています。
しかし、「ベトナム人の働き方」について、その文化や価値観を深く理解している日本企業はまだ少ないかもしれません。
ベトナム人の働き方の特性を理解し、お互いの文化を尊重することで、チームのパフォーマンスは飛躍的に向上します。
この記事では、日本の企業が知っておくべきベトナム人の働き方の特徴と、より良いチームを作るための方法について解説します。

1. 家族とのつながりを何よりも大切にする

ベトナム人は、「家族とのつながり」を非常に大切にします。
これは単に週末に実家に帰る、といったことだけではありません。
家族の病気や行事があれば、仕事を休んででも駆けつけたり、仕送りをしたりすることはごく一般的です。

日本の企業では、仕事とプライベートを明確に分ける風潮がありますが、ベトナム人にとって「仕事」は「家族を支える手段」という側面が強く、そのための責任感も非常に強いです。
この背景を理解せず、「なぜ家族のことで仕事を休むのか?」と疑問に感じてしまうと、ベトナム人従業員は「この会社は自分を理解してくれない」と感じ、信頼関係を築くのが難しくなります。

2. 直接的なフィードバックを苦手とする文化

ベトナムの文化では、相手の顔を立てる、「メンツ」を重んじる習慣があります。
そのため、人前で失敗を指摘されたり、厳しいフィードバックを受けたりすることに強い抵抗を感じる人が少なくありません。

日本の企業では、業務改善のために、社員の前で直接的に課題を指摘することがありますが、ベトナム人従業員に対しては、この方法が逆効果になることがあります。

フィードバックをする際は、「1対1の個別の面談」を設けるなど、プライベートな空間で行うことを心がけるべきです。
また、具体的な改善点だけでなく、良い点や成果も合わせて伝えることで、彼らのモチベーションを維持することができます。

3. チームワークを重んじる一方で、リーダーシップを発揮しづらい

ベトナム人は、チームワークを大切にし、仲間と協力して物事を進めることを得意とする傾向が強いです。
しかし、自ら率先して意見を言ったり、リーダーシップを発揮したりすることに慣れていない人も少なくありません。
これは、組織内での序列や人間関係を重視する文化が影響していると考えられます。

チームで仕事を進める際は、「誰が何を担当するのか」を明確にし、それぞれの役割を具体的に割り振ることが大切です。
また、会議などで意見を求める際は、「何か意見はありますか?」と漠然と聞くのではなく、「〇〇さんの意見を聞かせてくれますか?」と個人を名指しして発言を促すなど、工夫を凝らすことで、彼らの意見をより引き出しやすくなります。

4. 信頼関係が仕事のパフォーマンスを左右する

ベトナム人にとって、「上司や同僚との信頼関係」は、仕事のモチベーションに直結します。
単に業務上の指示を出すだけでなく、日頃から積極的にコミュニケーションを取ることが、信頼関係構築の鍵となります。

「最近どう?」「困っていることはない?」といった簡単な声かけや、たまに一緒に食事に行くなど、仕事以外の話をする機会を設けることで、彼らは「自分は大切にされている」と感じ、会社へのエンゲージメントが高まります。
信頼関係が築ければ、多少の困難な業務でも、積極的に取り組んでくれるようになるでしょう。

5. より良いチームを作るための実践的アプローチ

ベトナム人従業員との最高のチームを作るためには、以下の3つのアプローチが有効です。

ー1. 異文化理解のための研修や勉強会を実施するー
お互いの文化や価値観について学び合う機会を設けることで、従業員同士の相互理解が深まります。
ベトナムの歴史や社会背景について知ることは、彼らの言動を理解する上で非常に役立ちます。
弊社でもミニセミナーをご提供できますので、ご興味があればご用命ください。

ー2. メンター制度やバディ制度を導入するー
新しく入社したベトナム人従業員に、日本語が話せる先輩社員や同じベトナム人の社員をメンターとしてつけることで、仕事や生活の相談ができる環境を提供します。
これにより、孤独感を感じることなく、スムーズに職場に溶け込むことができます。

ー3. 評価制度を明確にするー
ベトナム人は総じて努力家で、成果を出すことに強い意欲を持っています。
しかし、その努力や成果が正当に評価されないと感じると、モチベーションが一気に低下してしまいます。
「どのような成果を出せば評価されるのか」を明確に伝え、定期的なフィードバックを行うことで、彼らの成長を促すことができます。

まとめ

ベトナム人の働き方の特徴は、日本の企業文化とは異なる部分が多くあります。
しかし、その違いを「障害」と捉えるのではなく、「多様性」として受け入れ、相互理解を深める努力をすることで、企業は新たな力を得ることができます。

ベトナム人従業員一人ひとりの個性と文化を尊重し、彼らが持つ可能性を最大限に引き出すことができれば、必ず最高のチームが築けるはずです。
もし私たちにそのお手伝いができれば、大変うれしく思います。