ベトナム人技能実習生の活躍は、人手不足に悩む中小企業にとって大きな希望です。
しかし、「指示が伝わらない」「ミスが増える」といった「日本語力の壁」に直面し、お互いにストレスを感じている現場も少なくありません。
彼・彼女らの日本語能力は、まだまだ発展途上です。
向こうの日本語力が上がってくるのをただ待つのではなく、私たち日本人側も「伝える努力」をすること、これも非常に重要になります。
ここでは、現場で今日から実践できる、効果的かつカンタンな業務指示のテクニックをご紹介します。
1. 「日本語」をシンプルに。3つの原則
難しい言葉や表現を、意識して「やさしい日本語」に切り替えましょう。
① 短く切る:一文に情報を詰め込みすぎない
一文を短く区切り、動詞や名詞をハッキリと伝えます。
特に、漢字を多用する難しい言葉は簡単なものに言い換えましょう。
NG例:「この製品の『検品』が終わったら、向こうの棚に『収納』してください。」
調整例:「この製品の品質をチェックします。終わったら、あの棚にしまいます。」(「検品」は「チェック」、「収納する」は「しまう」「入れる」等に)
② です・ます形を使う:省略形は避ける
現場では「〜しといて」といった省略表現が使われがちですが、実習生は教科書で学んだです・ます形でないと理解できない場合が少なくありません。
年下の実習生に対して丁寧な話し言葉を使うことに、ある種の違和感を持たれることもあるかもしれませんが、そこはスムーズなコミュニケーションのために許容していただきたいところです。
NG例:「機械の準備しといて。」
調整例:「機械の準備をしておいてください。」
③ カタカナ語・専門用語は避ける
「イレギュラー」「スケジュール」などの横文字や、現場特有の略語は、できる限り簡単な言葉に言い換えましょう。
仕事上どうしても必要な専門用語は、Google翻訳を活用しながら、「現場語彙リスト」として渡しておくと効果的です。
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2. 「目」と「体」で理解を深める視覚指導
言葉だけでは不十分です。視覚情報を加えることで、理解度は飛躍的に向上します。
①動作とジェスチャーを添える
「持つ」「運ぶ」「チェックする」など、指示を出す際は必ずその動作を実演し、ゆっくりと見せます。
②差し確認の徹底
以前も紹介しましたが、ベトナム人と日本人の間には、安全に対する考え方に大きなギャップがある場合が多くあります。指差し確認を徹底して、曖昧さを排除します。
③写真付きマニュアルの活用
危険作業や複雑な手順は、写真やイラストを多用した「見える化マニュアル」が重要です。作業工程ごとに番号を振り、母国語訳を併記するとさらに効果的です。
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3. 「わかったフリ」を防ぐ確認の習慣
ベトナム文化では、教えられたことを理解していないと伝えるのは失礼だと考える傾向があります。
「わかりましたか?」と聞くと、ほとんどの場合「はい」と答えてしまいます。
①復唱させる
指示の後、具体的な5W1H(いつ、どこで、何を、など)を聞き返し、理解度を確認します。
②やらせてみる
その場で「じゃあ、一度やってみてください」と実演させ、指示通りに動けるか確認します。
③「なぜ?」を教える
単に「こうしろ」だけでなく、「なぜこの手順が必要なのか(安全のため、品質のため)」を伝えると、作業の重要性が理解され、定着率が上がります。
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4. 現場で使う「頻出フレーズ集」を作る
あなたの会社でよく使う日本語フレーズを、Google翻訳を活用しながら日越対照表を作成して教えることが、即戦力化への近道です。
今はAIを使えば、複数言語のマニュアルなども簡単に自分で作成できる時代です。
各種AIツールを自社で効果的に使えるよう、Youtubeなどで情報収集してみると、思わぬ発見があるはずです。
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日本語力の壁は、工夫次第で必ず乗り越えられます。
弊社にご要望いただければ、より速く「日本語の壁」を乗り越えるお手伝いをさせていただきますが、自社内でできることもたくさんあります。
彼らの真面目さや熱意を引き出すよう、粘り強く「やさしいコミュニケーション」を心がけていただけたらと思います。


