ベトナム人技能実習生を受け入れている中小企業の経営者の皆様。
現場に配属した直後、
* 「思ったより日本語が通じない」
* 「6か月も日本語を勉強してきたはずなのに…」
と、正直がっかりした経験はありませんか?
しかし、それは実習生の能力不足ではありません。
むしろ、日本側の「想定」が現実とずれているケースがほとんどです。
半年の日本語学習=小学校低学年レベルと考える
ベトナム人技能実習生は、来日前に約6か月間、日本語教育を受けています。
とはいえ、その会話力はせいぜい日本の小学校低学年レベルと考えておくのが現実的です。
私たちが逆の立場で、「半年だけ外国語を勉強して、いきなり海外の現場で働く」と想像してみてください。
専門用語、スピードの速い会話、曖昧な指示——
それを完璧に理解できるでしょうか?
おそらく、ほとんどの人が無理だと感じるはずです。
実習生が最初につまずく最大の壁は「方言」
実習生にとって、日本語の最初の大きな壁は方言です。
日本人にとっては無意識に使っている言葉でも、来日したばかりの実習生にはほとんど通じません。
これは、学校英語しか学んでいない日本人が、テキサス訛りやフロリダ訛りの英語を突然聞かされるようなものです。
理解できなくて当然なのです。
教科書日本語と「現場言葉」の深すぎる溝
もう一つの大きな障壁が、丁寧語(です・ます体)と現場の日常語の差です。
日本語学習者は、まず「〜です」「〜ます」といった、丁寧でシンプルな日本語から学びます。
しかし、実際の現場ではどうでしょうか。
* 「◯◯持って来い」
* 「✕✕した?」
* 「まだ終わってねえの?」
こうした表現は、教科書にはほとんど出てきません。
外国語として日本語を学んできた実習生にとって、非常に理解しにくい言葉なのです。
コミュニケーション改善の近道は「日本人側が変わること」
「日本に来ているのだから、日本人に合わせるべきだ」、そう考える経営者の方もいるかもしれません。
しかし冷静に考えてみてください。
ベトナム人実習生が日本語の微妙なニュアンスや方言を完全に理解するまで待つのと、日本人側が母語である日本語を少し調整するのと、どちらが楽でしょうか。
答えは明らかです。
今日からできる、現場での具体的な工夫
現場では、あえて
* 丁寧な「です・ます体」を使う
* ゆっくり、短く、はっきり話す
この2点を意識してみてください。
それだけで実習生は「分かった」「伝わった」という小さな成功体験を積み重ねることができます。
この成功体験が、不安を減らし、ミスを減らし、信頼関係を作ります。
数年後、「残る会社」になるために
こうした日々のコミュニケーションの積み重ねは、数年後、実習生が特定技能へ移行するか、帰国するか、転職するかを考える際の重要な判断材料になります。
「この会社は、自分を人として扱ってくれた」、そう思われるかどうかが、結果を大きく左右するのです。
実習生を単なる労働力としてではなく、一人の人間として尊重する姿勢。
それこそが、人材の定着につながり、最終的には企業の求心力を高める最短ルートなのです。


