ベトナム人従業員を雇用されている事業主の皆様、毎年1月下旬から2月にかけて訪れる「テト」(ベトナムの旧正月)への対応について、準備はお済みでしょうか?
テトは、ベトナム人にとって年間で最も重要かつ大きな祝日であり、日本における「お盆」「年末」「お正月」の行事が一度に訪れる、文字通り「盆暮れ正月」です。
この時期の従業員の休暇申請は、事業計画にも影響するため、適切な理解と準備が欠かせません。
ここでは、テト休暇への対応について、事業主が知っておくべきポイントを解説します。
1. なぜテト休暇は重要なのか?
ベトナムでは、日本の新暦(太陽暦)の正月(1月1日)は、単なる一日の祝日に過ぎず、そこまで重要視されません。
これに対し、テトは旧暦(太陰暦)に基づく祝日で、民族の伝統と文化の中心です。
家族の再会と帰省: 遠方にいる家族が集まり、祖先の霊を祀り、新年の健康と幸運を祈る大切な時間です。
長期休暇の習慣: 多くのベトナム人は、この期間にまとまった休みを取り、実家への長距離移動や親戚への挨拶を行います。
「盆暮れ正月」: 日本の3つの重要な行事が凝縮されているため、非常に長く、深い意味合いを持つ休暇となります。
2. ✈️ 帰国と長期休暇の調整
テトはベトナム国内の祝日自体は数日間ですが、帰国する従業員は、移動にかかる期間や家族との時間を考慮し、1週間~2週間程度の長期休暇を申請することが一般的です。
早めの意向確認と調整:
テトの正確な日付は毎年変動するため、前年の秋頃には、帰国希望の有無、必要な休暇期間について従業員と話し合いを始めることを推奨します。
他の従業員への影響を最小限にするため、業務に支障が出ないよう、事前に代替案や業務引継ぎ計画を策定しましょう。
社内ルールの明確化:
「テト休暇は有給休暇(年次休暇)として処理する」など、長期休暇を申請する場合の社内ルールを明確にし、従業員全員に周知します。
有給休暇が不足している場合は、特別休暇や欠勤扱いとするかなど、事前に取り決めをしておくことがトラブル防止につながります。
3. テト手当(ボーナス)の必要性
ベトナムの会社では、テト前に従業員に対して「テトボーナス」や「テト手当」を支給する習慣が強く根付いています。
これは、新年の準備や帰省費用などに充てるためのもので、従業員にとって非常に重要な収入源と見なされています。
支給の検討:
日本の法律上、テト手当の支給義務はありませんが、ベトナムの文化や習慣に配慮し、従業員のモチベーションや定着率向上の観点から、寸志程度の支給を検討する価値は大いにあります。
「年末賞与」や「特別手当」といった形で支給し、テトの時期に重なるように調整するのも一つの方法です。
公平性の確保:
支給する場合は、ベトナム人従業員間だけでなく、他の外国人従業員や日本人従業員との公平性をどう保つかについて、社内で慎重に検討しましょう。
4. 労いのメッセージと配慮
テトの時期には、従業員への温かい配慮を示すことが、信頼関係の構築に繋がります。
労いの言葉: 休暇に入る際や戻ってきた際に、「Chúc Mừng Năm Mới(チュック・ムン・ナム・モイ:新年おめでとう)」や「一年間お疲れ様でした。良いお年をお迎えください」といった、労いのメッセージをかけるようにしましょう。
文化への理解: 休暇中に、テトに関するポジティブな話題(家族、伝統料理、飾り付けなど)について話すことで、従業員は尊重されていると感じることができます。
まとめ
テトは、ベトナム人従業員にとって、心身のリフレッシュと家族の絆を深めるための、替えのきかない大切な時間です。
事業主の皆様には、この文化的背景を深く理解し、早めの調整と温かい配慮をもって対応されることをお勧めします。
適切な対応は、従業員のエンゲージメントを高め、より良い職場環境を作り上げる基盤となるでしょう。


