人手不足が深刻化する中、新たな在留資格「特定技能」への注目が集まっています。
しかし、これを単なる「技能実習の代わり」や「即戦力採用の手段」として安易に捉えてはいないでしょうか?

2019年の新設から時間が経過し見えてきた特定技能の「正しい活用方法」は、新規採用の手段としてではなく、技能実習制度の延長・発展形として位置づけることにあります。
ここでは、リスクを抑え、ベトナム人材の能力を最大限に引き出す活用法を解説します。

### 1. 「技能実習3年+特定技能5年」の長期キャリアプラン

特定技能を単体で活用し、海外から直接採用することは、実はハードルが高いのが現状です。
試験の難易度から母集団が少なく、採用コストがかかる上に、「転職が可能」というリスクがあるためです,。

最も推奨される「正しい活用法」は、技能実習生として3年間自社で育て上げ、信頼関係を築いた後に、無試験で特定技能へ移行させるというルートです。
技能実習の3年間は転職ができません。
この期間に企業と実習生が「相思相愛」の関係を築くことができれば、特定技能に移行して転職が可能になっても、定着してくれる可能性は格段に高まります。
これにより、実質最大8年間の長期雇用が可能となります,。

### 2. 「労働力」から「リーダー」への昇格

特定技能へ移行した人材には、技能実習生時代とは異なる「役割と権限」を与えることが定着と戦力化の鍵です。

ある建設事業者の成功事例では、技能実習を5年経験したベトナム人を特定技能者として雇用し、「職長」に抜擢しました。
彼に運転免許を取得させ、社用車の運転と現場管理を任せることで、「ベトナム人だけのチーム」を編成し、事業を拡大させました。
技能実習生はあくまで「実習」ですが、特定技能者は「労働者」として責任あるポジションに就くことが可能です。
職長手当や運転手当などで待遇を改善し、キャリアパスを示すことで、彼らのモチベーションは飛躍的に向上します。

### 3. かつての実習生を呼び戻す「再チャレンジ」の機会

特定技能は、過去に自社で働き、帰国した元技能実習生を呼び戻す手段としても有効です。
これまで、帰国した実習生を呼び戻すには「技術・人文知識・国際業務」のビザが必要でしたが、これには大卒などの学歴要件がありました。
しかし、特定技能であれば、学歴に関係なく、技能実習を良好に修了していれば再入国が可能です。
日本の勝手を知り、自社の業務に精通した「信頼できる元社員」を即戦力として再び迎え入れることができるのです。

### まとめ

特定技能制度は、見ず知らずの人材を海外から採用する「魔法の杖」ではありません。
手塩にかけて育てた技能実習生との縁を繋ぎ、彼らをリーダーへと育成するための「架け橋」として活用することこそが、企業と外国人材双方にとって最も幸福な結果をもたらすのです。