ベトナムに住み始めて、気づけば四半世紀が過ぎました。
長く住んでいると、ベトナム人と日本人の似ている部分、そして大きく異なる部分が見えてきます。
その中でも私が最も強く感じる違いの1つは、「安全に対する意識の低さ」です。
これは一部の人に限った話ではありません。
職人も、一般の庶民も、社会全体においてその傾向が見られます。
私は日常の足としてバイクをよく使うのですが、路上で最も恐ろしい存在は、なんと路線バスです。
交通渋滞が起これば、ためらうことなく反対車線に飛び出し、歩道まで走行することもそう珍しくありません。
時には、正規のルートを外れ、狭い脇道をショートカットする姿すら目にします。
乗客の安全や交通ルールはどこへ行ったのか…と、考えさせられる瞬間が何度もありました。
また、建築現場を見てもその意識の違いは歴然です。
ローカルの大工さんが組む足場は、素人目に見ても「よくこれに登るな」と心配になるものばかり。
私は若い頃、日本で高所特殊作業の会社に勤めていた経験があるため、そうした現場を見るたびに冷や汗が出ます。
命を預けるにはあまりに不安定で、事故が起きないのが不思議に思えるほどです。
このような環境で育った若者が、日本の企業で技能実習生や特定技能生として働くとなれば、安全意識のギャップは想像以上です。
日本では当たり前とされる作業前の安全確認なども、ゼロから教える必要があるでしょう。
ただ、この安全軽視の国民性?も、もしかしたら変わるかもしれません。
政府も外国人からしばしば指摘されるこうした事態を危惧したのか、2025年から交通ルールが格段に厳しく(日本人目線では普通)になり、違反の場合の罰金額がいきなり”10倍”になりました。
このあたりは、以前紹介した「変化を厭わない国民性」が良い意味で発揮された典型かもしれません。
現地で暮らす一人として、今後の変化に注目していきたいと思います。