先日、所用があってホーチミン市のタンソンニャット空港に足を運びました。
ゴールデンウィークも終わりに近く、空港のロビーには、どこか緊張したような、それでいて寂しさをにじませた表情の人々が行き交っていました。

ふと目をやると、あるベトナム人家族の姿が。
恐らく、連休の休暇をもらい一時帰国していた人たちが、再び日本に戻るところだったのでしょう。
幾度となく目にした光景ですが、スーツケースを押しながら、家族との別れを惜しむその姿は、何度見ても胸に迫るものがあります。

ある家族が目に留まりました。
幼い子どもが、お父さんにしがみついて泣いていました。
「行かないで」と言わんばかりに、力いっぱい腕を離そうとしません。
奥さんは静かに涙を流し、夫の背中を見つめていました。
その姿は言葉にならないほど切なく、同時に、深い愛と覚悟を感じさせるものでした。

私はその場に立ち尽くしながら思いました。
この人たちは、どれだけの思いを胸に日本へ向かうのだろう。
離れて暮らす寂しさや不安。異国の地での生活の苦労。
それでも「家族のため」「未来のため」と前を向いて進もうとする姿に、私は改めて心を打たれました。

彼ら、彼女らが日本で働くことには、私たち日本人の想像を超える覚悟がある。
そのことを忘れてはならないし、私たちの会社ができる支援も、まだまだあるはずです。

バスで空港を後にしながら、私は自分の役割をもう一度見つめ直しました。
日本で働くベトナム人の皆さん、そしてそのベトナム人を雇用する企業様にとって、少しでも安心できる環境をつくること。

自分はまだまだ無力で力不足。
その力になれるよう、自分ももっと努力を重ねていこう。

そう強く心に誓った一日でした。